フランス語の雑誌をぱらぱらとめくっていたら、10代と思われる2人の若い女性がVサインをしている写真が目に飛び込んできた。どう見ても日本人である。右側の女性は妙にかわいらしい服を着ており、背景に写っているのも、そうした「ファンシーな」服を売る店のようである。場所は原宿だろうか、渋谷だろうか。
何の記事だろうかと読んでみると、俵万智さんの「サラダ記念日」に関する記事である。年齢は50歳となっているが、わたしよりも1学年上なので、去年の大晦日で48歳になったばかりのはずである。また、肩書きがいまだに「神奈川の高校のprofesseur de littérature」となっている。どうやらフランス人は俵さんの人物像には興味がないらしい。出版時の著者データをそのまま引用しただけだろう(それにしては年齢の間違いは不可解だが)。
なぜ今頃「サラダ記念日」が取り上げられるのだろうかと思ったのだが、どうやらフランス語版が出版されたようである。英語版はかなり昔、オリジナルが出てほどなくして出ていたはずである。四半世紀近くたってからフランス語訳が出版された背景には、どのような事情があったのだろうか。日本文学ブーム? アニメ文化やオタク文化との関連?
記事の最後には、この第一歌集で最も有名と思われる歌が引用されている(俵さんは当時、あちこちでこの歌だけが取り上げられて話題にされるのが不本意だったようだ)。
Deviens donc ma femme dis-tu
Mais après deux canettes d’alcool-soda
Est-ce vraiment raisonnable?
(「嫁さんになれよ」だなんて缶チューハイ二本で言ってしまっていいの)
…なるほど、そう訳すものですか(記事ではスペースの関係からスラッシュで区切られているのだが、改行する場合はやはり行頭を大文字で始めるのだろうか)。
「サラダ記念日」は、短歌という伝統的な詩歌の形式を取りながら、現代女性の等身大の日常を口語で歌ったところが大いに話題になった(もちろん俵さんの短歌を認めない保守派の人も多かったはずである)。今風の若い日本人女性の写真を掲載したのも、そのことを反映したものと思われる。しかし、この女性たちと俵さんとはおそらく2~3倍もの年齢の開きがあるはずである(笑)。「サラダ記念日」には携帯電話もiPodも出てこない。