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2012年2月5日日曜日

黒田龍之助「初級ロシア語文法」(三修社)

黒田先生が文法書を出したらしい。416ページと結構大部の本のようであり、どうやら本格的な初級文法書のようである。黒田先生の著書なので、おそらく分かりやすくていい本だろうと、中身を見ないうちから勝手に考えてるのだが(わたしはこの著者を信頼している)、どう考えても、わたしが現在所有している本に加えて買うべき本とは思われない。すでにロシア語だけでも7~8冊の参考書があるので、まずは手持ちの本を使い倒すのが先である。

しかし、例文が700くらい収録されているらしい。全部は無理としても、その一部を抜き出して暗唱するのは上達に有効ではないか。さらにすべての例文がCD収録されているという。これはなかなか画期的である。「けっして手を抜かない」という黒田先生のメッセージが伝わってくるようだ。

CDの吹き込みは、予想通り、藤枝・グトワ・エカテリーナさんであった。ちょっとこれは聞いてみたい気がするのだけれど。

…この本の評価を知りたくて検索エンジンから飛んで来た方がいらっしゃったら、お役に立てなくてごめんなさい。機会があったら書店で実物を手に取ってみることにしますm(_ _)m

2012年1月9日月曜日

原求作著「ロシア語の体の用法」(水声社)

ジュンク堂新宿店で城田俊著「現代ロシア語文法 中・上級編」(東洋書店)、原求作著「ロシア語の体の用法」「ロシア語の運動の動詞」(いずれも水声社)を買ってきた(ジュンク堂で1万円以上の買い物をすると400円のドリンク券をくれる。だから別のフロアの商品もまとめて会計した方がいいかもしれない。このドリンク券は同じビルに入っている同書店の喫茶室で使える。もちろんジュンク堂の別の店舗に入っている喫茶室でも使える。有効期限は3か月)。

原先生の著書については、さとう好明さんが「必読書」に挙げておられるのでいつかは読まなければと思っていたが、上級者向けのもっと難しい本だと思っていた。出版社も聞いたこともない会社だし。。。かつて手にとってぱらぱらめくってみたことはあるのだが、いかんせん見た目が地味である。大学のロシア語の先生が、授業で学生に配るためにプリンターで打ち出した自作のプリントといった趣がある。ロシア文はタイプライターのような書体で力点(アクセント)もЁのテンテンも付いていない(まあ、中級以上の読者には要らないのかもしれないが)。これが多数の語学書を出しているもっと有名な出版社であれば、もう少し魅力的なレイアウトにしたのではないかと思うのだが、見た目で損をしている感はある。

しかし、実際に読んでみると非常に面白い(まだ読了したわけでないが)。たとえば、初級の文法書では完了体は「1回の完結した動作をあらわす」、不完了体は「継続する動作、反復される動作をあらわす」などと習う。しかし、実際にはこれではうまく説明できない例がいろいろと出てくるのである。

完了体の本質的な機能は、「動作をはっきりと、明確にとらえる」というところにあり、不完了体の本質的な機能は、「ものごとを漠然と、曖昧な形でとらえる」ということになります。p.26

この箇所を読んだとき、それまでぼんやりと「そうではないか」と考えていたことがずばりと書かれていて、思わず膝を打った。不完了体動詞の過去形における「事実の名指し」と命名される用法(単に事実があったかなかったかを述べる)の考察もなるほどと思う。

さらに、「否定詞をともなった過去形における体の用法」も興味深い。初級文法書の説明に従えば、

не + 不完了体過去形 →反復される動作の否定
не + 完了体過去形    →1回の動作の否定

となる。もちろんこれで理解できる場合もあるが、理解できない用法もある。そもそも、「動作そのものは1度もおこなわれなかったのに、その動作が1回の動作であるということが、どうしてわかるのでしょう」(p.82)。なるほど。確かにそうだ。そして、続いて「戦争と平和」の例文が掲げられ、

予期していた動作が行われなかった→完了体過去形の否定(予期・期待していたがゆえに、それはある程度特定化された1回の動作である。したがって完了体の過去形を否定した方が適切という発想)
予期があるとかないとかということは関係なく、とにかく動作がまったく行われなかった→不完了体過去形の否定

という説明が与えられる。実に面白い。この辺りの説明は、一般的な文法書に書かれているだろうか。…「現代ロシア語文法 中・上級編」の132ページに完了体の注意するべき用法として「2. 想定・予定」という節があるが(わずか半ページ)、本書と比較すると意味・用法の本質的な核心を突いていないという意味でまったく不十分である(城田先生の「…中・上級編」についてはまだ読んでいないので見落としがあるかもしれません)。

例文には初級レベルでは難しい単語も混じっているが、初級の終わりくらいから中級の入口くらいのレベルでも、(初級)文法書に書かれている(通り一遍の)体の用法の説明に疑問を感じ始めた人にとっては非常に有用かつ面白い本であると思う。本質的な点を理解したいという人には強くお薦めしたい。用例をいくつか暗記して、その場の用が足りればそれで良いという人にとっては高価でかつ面倒くさい本になってしまうかもしれない(見てくれは地味なので本棚に飾るなど、所有する喜びはない。むしろ書き込みで汚しても惜しくしないという雰囲気を持っている)。

「ロシア語の運動の動詞」の方はまだ読んでいないが、期待してしまう。

…アマゾンに否定的なレビューが上がっているが、わたしも最初からこの本を使って動詞の体を学ぶのはお薦めしない。最初は一般の文法書で学び、それで理解できないもやもやが溜まってきた頃に出会うのが最善と思う(ただし、けっして上級者限定の本ではないと思う。疑問点を抱えて飢え渇き、悩んでいるときに読むと、まるで砂漠で出会ったオアシスのようにそのありがたみが分かる。そうでない人には退屈)。

2011年12月21日水曜日

RFI全面廃止、France 24と統合へ

最近、またRadio France Internationaleがストを行っているようなので何があるのだろうかと思っていたのだが、フランスの会計検査院がRFIの廃止を勧告し、労組がそれに反発しているのだという(出典:「月刊短波」)。

◎RFI廃止の勧告 ~1月には他組織と統合 4版追加
フランスのJean-Michel Aubie氏によると、フランスの会計検査院(General Inspectorate of Finance)はRFIの国際放送は国家予算のムダであるとして、放送の全面廃止を勧告した。(DXLDyg 11/9)
  RFI労組は11月27日より無期限ストライキに突入した。RFIの解体とそれに伴うFrance24への人員シフトに反対するもので、RFIの放送維持 を主張している。(DXLDyg 11/27)
RFI労組は12月12日現在もストを続行している。2012年1月に予定されているAudiovisuel Extérieur de la France (AEF)の配下でのRFIとFrance 24のと統合に反対しているものである。AEFは他にTV5Mondeという国際TV放送も統括しているがこても同時に統合される。RFI労組は評判の悪 いAEF内での統合にはリスクがあるとしてFrance24の職員にも反対を呼びかけている。AEFの役員はフランス大統領の倍も給料をもらっておりAEF内で統合してもコストの節約にはならないとしている。AEFの計画ではまずRFI職員206人を移動させてRFI自体のコストを4130万ユーロ削 減し、更に127人を削減するとしているがRFI労組はRFIの極端な弱体化につながるとして反対している。また統合に際してRFIをFeance24近 くに移動する計画についてはそれ自体で2450万ユーロかかると反発している。(MN 12/12)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~BCLSWL/TA1112.html

一般のフランス語学習者には関係ないかもしれない。FRIのサイトのトップにはFrance 24のバナーが貼ってある。しかし、国際放送が廃止されるということは、ロシア語、スペイン語、中国語などの放送のネット配信もなくなるのであろう。BBCやVOAなどの大手国際放送局では、コスト削減のために軒並み放送言語や放送時間を減らしている(BBCは最近、ロシア語放送を廃止した)。これも時代の流れなのかもしれない。わたしはRFIのロシア語やスペイン語の番組も時どきダウンロードして聞いているので、なくなるのは残念だ。

…組合が頑強に抵抗しているのか、2012年2月5日現在、まだRFIは存続している。まだしばらくの間は楽しめそうだ。

2011年12月18日日曜日

ロシア語能力検定の語彙数はworking vocabulary

東京ロシア語学院のサイトに「ロシア語到達度判定基準」(Click to go )というページがある。そこに目安となる各級の語彙数が書いてある。

1級 3,000
2級 2,000
3級 1,000
4級 500

先生との雑談でたまたま検定試験の話になったのだが、この数字は「能動的に使用できる語彙数」であるという。1級相当の3,000語が使えるようになるには、普通に考えるとその3倍の9,000語を知っている必要がある。

「やたら少ない」と思っていたのだが、これで納得である。

…英語では「茅ヶ崎方式」が「4,000語の使用語彙化」を目指しているので、だいたいそれと同じレベルということになる。

2011年12月4日日曜日

学院祭

12月3日、4日と東京ロシア語学院の学院祭に行ってきた。3日は、仕事をある程度までこなして15時頃、学院に行った。ボルシチを食べたかったのだが、あいにく売り切れ。仕方なく、教職員の方々によるカフェ”Россия”(ロシア)でペリメニ、ビネグレット(ビーツのサラダ)、コーヒーをいただく(450円)。15時から2年生による語劇"”Бобок”(ボボーク)を見る。ドストエフスキーの短編をお芝居にしたものらしい。まったく理解できず。ロシア語はさすがにうまい。

12月4日はボルシチを食べるべく、少し早めに行くことにする。もっと早く行きたかったのだが、仕事があるのに少しも仕事をせずに「遊びに」行ってしまうのはどうも気が引ける。やはりある程度は仕事を終わらせて、気分良く出かけたいものだ。前日よりも1時間早く、14時頃、学院に着いたのだが、ボルシチは売り切れ。土曜日よりも来訪者が多かったのではないかと思う。仕方がないので、3年生のカフェ”Снег”(雪)でピロシキとコーヒーのセットをいただく(200円)。15時から1年生の語劇”Снежная королева”(雪の女王)を鑑賞。なんというか、かわいくてほほえましい。

きのうの「ボボーク」に比べると、「雪の女王」は良く理解できたし、楽しめた。理由は3つある。まず「雪の女王」は、カイがいなくなってゲルダがカイを探しに行く話だということを、ぼんやりと知っていたこと。2つめに、「ボボーク」は場面に動きがなく、物語がほとんど登場人物のセリフによって語られるため、セリフが聞き取れないと何が起こっているのかまったくわからないのに対し、「雪の女王」は舞台に動きがあり、目で見ているだけでカイとゲルダが何をやっているのかが、だいたいわかること。3つ目に、セリフや語りに使われているロシア語はそれぞれの学年の学習レベルに合わせているのか、「雪の女王」のセリフが結構聞き取れたこと(先生によると、学生が自分で脚本を準備したのだという)。

「雪の女王」ではカラスとトナカイみたいな動物の2役を演じた男子学生の台詞回し、仕草、表情がユーモラスで、会場の笑いを誘っていた。学生たちに混じっておじいさん役を演じていた先生も、いい味を出していた。

1階ではロシア語書籍のバザーをやっていたが、ロシア語の本、辞書、参考書のどれを買っても、たぶん読まずに終わってしまいそうなので、何も買わなかった。オジェゴフの露露辞典(53,000語の方)はやや心が動いたが、語彙数が5,000語くらいにならないと使いこなせないであろう。

…ドストエフスキーの短編「ボボーク」については、中村健之介著「ドストエフスキー人物事典」(講談社学術文庫、旧版は朝日選書から出たらしい)に概略が出ている。この本ではドストエフスキーのすべての小説が解説されており、この作家に興味がある人にとってはなかなか便利な本である。ただし、1,600円と文庫にしてはちょっとお高い(ページ数も500ページ超と大部であるので仕方がないかもしれないが)。